霊長類の視床核が抽象的なルールを選択し、前頭前野のダイナミクスを形成する

学術的背景 認知制御は、目標と状況に応じて行動を柔軟に調整する人間の能力であり、前頭前野(Prefrontal Cortex, PFC)がこのプロセスにおいて重要な役割を果たしています。過去の研究では、PFCが高次元のタスク変数表現を通じてルールを読み取り、行動を導くと考えられてきました。しかし、近年の証拠は、視床(Thalamus)がルール選択と情報伝達において重要な役割を果たす可能性を示しています。特に、視床とPFCの密接な接続により、視床はPFCからの入力から関連情報を選択し、それをPFCにフィードバックすることで、後のタスク処理に影響を与えることが可能です。 本研究は、視床がどのようにPFCの入力から抽象的なルールを選択し、PFCとの相互作用を通じてこれらのルールの表現を維持するかを...

霊長類およびヒト組織における高効率塩基編集

非人霊長類とヒトの網膜における高精度な塩基編集技術の応用 研究背景 スターガルト病は現在治療法がない遺伝性神経変性疾患で、主にABCA4遺伝子の機能喪失変異により黄斑変性や失明を引き起こします。ABCA4遺伝子がコードするタンパク質は、光受容体と網膜色素上皮細胞(RPE細胞)に局在する膜脂質フリッパーゼであり、視網膜内の有毒なレチノイドの蓄積を防ぐ役割を持ちます。スターガルト病で最も一般的な変異は、ABCA4遺伝子のc.5882G>A(p.Gly1961Glu)点変異で、この変異はタンパク質機能の喪失を引き起こし、疾患を誘発します。 これまでに、細胞株やマウスモデルでの塩基編集に関する研究はいくつかありますが、ヒトおよび非ヒト霊長類(NHPs)の神経組織において効率的な遺伝子編集を実現するこ...