新生児心尖切除術は左心室全体の心筋細胞の増殖能を維持する
一、学術的背景:再生医療における心臓の謎 心血管疾患、特に心筋梗塞(Myocardial Infarction, MI)による心臓損傷は、世界的に主要な死因および障害原因の一つです。しかし、成体哺乳類の心臓は長らく内在的な再生能力をほぼ喪失したと考えられており、大部分の成熟した心筋細胞(Cardiomyocytes)は永久的に細胞周期の停止に入り、一度損傷を受けると不可逆的に瘢痕組織へと変化し、心不全や死亡につながります。これに対し、魚類やイモリなどの下等脊椎動物は極めて高い心筋再生能力を持ち、哺乳類では新生児(出生後数日以内)の個体でのみ一時的な心筋再生ウィンドウが報告されています。この制約は心臓再生医療の進歩を大きく妨げており、心不全などの疾患の根本治療も困難な状況です。 哺乳類の早期心...