ZIC1転写因子の過剰発現は区域性骨欠損において褐色脂肪および骨芽細胞分化を促進する
1.学術的背景と研究意義 ヒト骨組織はある程度の自己修復能力を有するが、深刻な外傷、腫瘍切除、感染または先天性奇形などによって生じた大容量の骨欠損に対しては、この修復能力が限界となる。いわゆる「臨界サイズ骨欠損(critical size bone defect)」とは、自然条件下では自発的に治癒しない骨欠損を指し、このような問題は臨床治療において厄介なだけでなく、社会および経済にも大きな負担をもたらす。現在主流の治療法である自家骨移植、骨延長術、同種骨材料の移植などは、手術回数が多く、回復期間が長く、移植材料の供給も制限されるといった問題がある。したがって、新たで安全かつ高効率な骨再生技術の開発が、組織工学および再生医療分野共通の目標となっている。 近年、間葉系幹/前駆細胞(mesench...