ダイナミックな中間シスゴルジ管状ネットワークを介したシロイヌナズナにおけるERからゴルジ体への輸送

学術的背景 真核細胞において、小胞体(ER)からゴルジ体(Golgi)への輸送は、分泌システムの中核となるプロセスであり、タンパク質や脂質の時空間的ソーティングを担っている。しかし、ER-ゴルジ中間区画(ERGIC)の性質や、ERGICからゴルジ体への移行を仲介する分子機構、特に異なる真核生物間での普遍性については、未解明の部分が多く残されている。植物細胞のゴルジ体は、動物細胞のゴルジ体と構造や機能において顕著な違いがあり、特にERとゴルジ体の界面においてその違いが際立っている。動物細胞ではERGICが広く研究されているが、植物細胞におけるERGICの存在と機能については依然として議論が続いている。植物細胞におけるERからゴルジ体への輸送機構をより深く理解するため、研究者たちは植物細胞のER...

BOKのSer-8リン酸化がIP3Rを介したカルシウム動員抑制能力を阻害する

BOKタンパク質のカルシウムシグナル調節における新たな役割 背景紹介 BOK(Bcl-2-related ovarian killer)は、Bcl-2タンパク質ファミリーの一員であり、長い間細胞死(アポトーシス)において役割を果たすと考えられてきました。しかし、近年の研究により、BOKは非アポトーシス機能、特にカルシウムイオン(Ca²⁺)シグナル調節においても重要な役割を果たす可能性が示されています。カルシウムイオンは細胞内の重要な第二メッセンジャーであり、細胞増殖、分化、アポトーシスなど多様な細胞プロセスに関与しています。小胞体(ER)は細胞内の主要なカルシウムイオン貯蔵庫であり、IP3受容体(IP3R)は小胞体からのカルシウムイオン放出を調節する重要なチャネルです。BOKとIP3Rの結合...

小胞体-ミトコンドリア間のカルシウム恒常性調節:骨格筋萎縮への影響

カルシウムイオンが骨格筋機能において果たす重要な役割とミトコンドリアおよび小胞体との相互作用 学術的背景 カルシウムイオン(Ca²⁺)は細胞内の重要なシグナル分子であり、特に骨格筋の興奮-収縮連関(excitation-contraction coupling, ECC)において重要な役割を果たしています。骨格筋の収縮は、筋小胞体(sarcoplasmic reticulum, SR)からのカルシウムイオンの放出と再取り込みに依存しており、このプロセスはリアノジン受容体(ryanodine receptor, RYR)やイノシトール1,4,5-三リン酸受容体(inositol 1,4,5-trisphosphate receptor, IP3R)などのさまざまなカルシウムイオンチャネルやポン...