ヒト胚性幹細胞の維持と分化におけるm6AリーダーYTHDF2のトランスクリプトーム解析

1. 研究の背景と意義 過去十数年にわたり、エピジェネティクスが細胞運命制御や疾患発症・進展において果たす役割はますます明らかになってきました。エピジェネティック制御の重要な要素として、RNAレベルでの修飾、特にN6-メチルアデノシン(N6-methyladenosine, m6A)修飾は、真核生物のmRNA内部に広く存在し、mRNAの安定性、スプライシング、核外輸送、分解、翻訳など多くの過程において重要な働きをすることが証明されています。しかし、多くのm6A修飾「ライター」(writers)、「イレーサー」(erasers)、「リーダー」(readers)が次々と発見されている一方で、m6A「リーダー」YTHDF2がヒト胚性幹細胞(human embryonic stem cells, h...

腫瘍固有のm6AリーダーYTHDF2が免疫回避を調節する役割

レポート:m6Aリーダータンパク質YTHDF2による腫瘍免疫逃避の調節 背景紹介 近年、免疫療法は腫瘍治療の分野で注目を集めており、免疫抑制のバリアを突破したり、既存の抗腫瘍免疫を強化する能力があるため関心が高まっています。しかし、現存の戦略が一部の成功を収めている一方で、患者が免疫療法に抵抗する現象は依然として一般的です。腫瘍細胞は多くのメカニズムを通じて抑制的な微小環境を構築し、免疫監視を逃れる内在的な能力を持っており、その結果、免疫逃避が起こり、既存の免疫療法の効果が制限されます。 現存の研究は、腫瘍細胞がエピジェネティックな再プログラミングを通じて免疫逃避を実現するメカニズムを明らかにしています。多重オミクス分析により、RUNX3が腫瘍細胞中でエピジェネティックな再プログラミングを促...