クロマチンリモデラーBAZ2Bを標的とした肝臓老化およびMASH線維症の緩和

一、研究背景と意義 世界的な高齢化が進行する現代、代謝異常関連脂肪性肝炎(Metabolic dysfunction-associated steatohepatitis、略称MASH、またはNASH)およびその肝線維症などの慢性肝疾患の発症率は年々上昇傾向にあり、近年は基礎・臨床の肝疾患研究におけるホットスポットかつ難題となっている。MASHは代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD、旧NAFLD)の進行型であり、肝脂質代謝の異常、炎症反応、肝細胞の老化および線維化を特徴とし、最終的には肝硬変や肝癌に至る。注目すべきは、肝臓の老化(aging of the liver)がMASHの発症・進展の重要なリスク因子であるのみならず、体内細胞老化(cellular senescence)やエピジェネテ...